お金の基礎知識

2018年05月15日

社会人1年生のためのお金の基本 いちばん大切なのは「借金しない!」

ビジネスの”本音”に迫るBussiness Journal からの転載です。

中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」
月給手取り18万、あっという間に借金20万…カード貧乏をやめれば貯金が増える!

 

社会人のスタートをどう切るかで、あなたの将来が決まる

 新社会人のみなさま。おめでとうございます。売り手市場とはいわれても、就職活動が長く厳しかったことには変わりがない。それを乗り切ってついに就職を決め、社会人としての一歩を踏み出されたこと、本当におめでとうございます。
 社会人になると、 これまでとお金との付き合い方が変わる。今までは生活費や学費のほとんどを親に出してもらっていた人が多いでしょう。つまり、養ってもらっていた、食べさせてもらっていた。
 それがこれからは自分で稼いで、そのお金で暮らす。経済的な独立を手に入れたのだ。まずは、その清々しさを十分に満喫してほしい。ぜひ自分の稼いだ給料で、初ボーナスで、今までお世話になった親やきょうだい、先生方にお礼の気持ちを表してほしい。
 自分のお金を、自分のためでなく人のために使える喜びは格別なもの。ぜひ味わってほしい。これは、これから一生付き合うことになるお金との、正しい関係の大切な一面だ。

お金と真剣に向き合う覚悟を決めよ

      『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(中村芳子/ダイヤモンド社)

 今あなたは22~25歳くらいかもしれない。お金とは、これから死ぬまでの長い付き合いになる。最近は「人生100年」と言われ始めた。あと70年以上、お金と正しく付き合うか否かで、あなたの人生は大きく変わってくる。まずは、そのことを肝に銘じてほしい。人生には、結果がはっきりしないこと、現象がはっきり現れないこともある。異性の友人に抱いている気持ちが、友情なのか恋なのかわからない。1日1500カロリーに制限してダイエットしても体重がなかなか減らないとか。
 ところが、お金のことは、たちどころに明確に数字で結果が現れる。ごまかしがきかない。給料の金額、銀行口座の残高、給料を何にいくら使ったか、クレジットカードの残高など、いろいろ。そこに、あなたの価値観や生き方や、将来向かっている方向が、はっきりと現れる。お金との正しい付き合い方を身につけると、お金はあなたの人生の味方になる。やりたいことを実現できて、人生が豊かになる。逆に、間違った付き合い方を続けると、お金はあなたを裏切って傷つける。やりたいことができず、恨めしい人生を送ることになる。

新社会人が身に付けたいお金のことはたくさんあるが、まずは以下の8つに気を付けたい。
(1)借金をしない
(2)手数料を甘くみない
(3)コンビニ、カフェ貧乏にならない
(4)まず、現金で生活してみる
(5)貯金は今から一生するものと心得る
(6)保険は、これだけ入れば大丈夫
(7)マネーアプリで支出を管理する
(8)お金で幸せを買う

マネーの基本1は「借金をしない」

 まだ給料を数回しかもらっていない社会人に、「借金をしてはいけない」と話してもピンとこないかもしれない。しかし、これこそがお金との付き合いのいちばん大切な点。多くの大人が人知れず悩んでいるのが借金の返済だ。
 アメリカでも近年、「Debt Control(借金管理)」の大切さが強調されるようになった。私も住んでみてわかったが、多くの人が請求書の支払いをするだけでアップアップ、貯金ゼロか貯金マイナスの生活をしていて、苦しそうだった。
 借金にもいろいろある。車のローンや住宅ローン、カードローン、消費ローンなどだ。でも、ふつうの人の借金は、クレジットカードからスタートする。クレジットは「信用」と訳されることが多いが、実態は「借金」。クレジットカードは借金カードだ。
 クレジットカードで3万円の支払いをすると、その代金が銀行口座から引き落とされるのは、だいたい翌月。払うまでの間は、カード会社から3万円の借金をしていることになる。一括払いだと利息を払わなくていいので、借金と感じにくいのだ。

 

クレジットカードを使わないこと

 クレジットカードの怖いところは、お金がなくても買い物や飲み食いができること。給料日前で銀行口座の残高が82円しかなくても、「来月払えるから大丈夫」と考えて、レストランで食事をしたり、服やハンドバッグを買ったりできる。
 1カ月の手取り収入が18万円としよう。一人暮らしだと暮らすのにギリギリだ。給料日前にお金がなくなり、ついカードで2万円支払う。この月は生活費に20万円使ったことになる。すると、来月の収入18万円のうち2万円は借金返済(カードの支払い)にあてることになり、16万円で生活しなくてはいけない。生活費を前月よりも4万円も減らせるか? 16万円で生活すれば借金を返せる。18万円だったら、またカードで2万円使って、借金は2万円のまま残る。先月と同じく生活費に20万円使ったら、借金は2倍の4万円に膨らむ。

「1回くらい」「2万円くらい」カードで払って大丈夫。一度油断すると、それが4万円、6万円、10万円、15万円、20万円と増えていくのは、とっても簡単、あっという間だ。「私は大丈夫」と自分を過信してはいけない。大丈夫な人など、この世にいない。
 なので、新社会人として最初に心がけるべきは、「クレジットカードを使わない」だ。これが健全なお金との付き合い方の一歩。基本の基本だ。

 クレジットカードは自己破産への第一歩

 

おすすめはデビットカード

 でも、カードでの支払いができないと不便だ。ネットや通販での買い物は、受取人払いができることもあるが、手数料がかかる。在宅していないと受け取れない。数万円、10万円以上の買い物をするのに、現金を持ち歩くのもぶっそうだ。
 そこで、おすすめなのが「デビットカード」。形も使い方もクレジットカードとそっくり。違いは、デビットカードで買い物をするとリアルタイムで代金があなたの銀行口座から引き落とされること。口座残高が2万円のときに3万円の買い物をしようとしても、残高不足で支払えない。カードは使えない。不便に思えるが、これが安全網。赤字に陥らないありがたい仕組みだ。
 
 現金をATMで引き出して買い物しようとすると、曜日や時間帯、使うATMによっては引き出し手数料がかかるが、デビットだと日曜でも早朝や深夜でも手数料がかからないからうれしい。

デビットカードの主流はVisa Debit

 
 アメリカでは、銀行のキャッシュカードにDebit機能がついているのが普通。10年ほど前から クレジットカードを解約して、Debit Cardだけに切り替える人が増えているのは、上手にDebt Control するため、クレジットカードで借金を負わないためだ。
 日本の多くの銀行のキャッシュカードにも、実はJ-Debit というデビット機能がついている。ところが手数料が高かったらしく、J-Debit 加盟店、つまりJ-Debit が使えるお店が増えなかった。はがゆく思っていたら、登場したのがVisa Debit。Visa Card の加盟店でクレジットカードと同様に使える。ということは、アマゾンをはじめ、ほとんどの通販サイトでも使えるということだ。
 クレジットカードを申し込むと、職業や収入、過去の延滞(クレジットカードの支払いが遅れたり、全額払わなかったこと)の記録が調べられ、安定した収入がないと発行が断られることがある。私も転職後すぐに申し込んだカードが断られ、屈辱感を味わった。でも、デビットカードは原則15歳以上で銀行口座を持っていれば、無条件で発行される。
 2006年にスルガ銀行が日本で初めてVisa Debitを発行。スルガ銀行に口座を持つ必要があるので、普及はいまいちだったが、その後、楽天銀行、ジャパネット銀行などがデビットカードを発行、13年にはメガバンクの三菱東京UFJ銀行が発行し、17年までにはすべてのメガバンクがデビットカードを発行、信託銀行や地銀も続いている。
 Visa Debit が主流だが、みずほ銀行などはJCB Debit を発行。国内ではVisa と遜色なく使える。キャッシュカード一体型(ソニー銀行など)と、キャッシュカードとは別にデビットカードを発行する銀行(メガバンクなど)の2タイプがある。中には海外で使えるデビットカードもあり優秀だ。
もちろん、車のローン、消費者ローン、カードローン、エステローンも借りない

 デビットカードの健全さ、クレジットカードの危険性を語っても、「でも、ポイントがたくさんつくから、クレジットカードのほうが得でしょ」と考える人も多い。なぜ、クレジットカードを使うとポイントが多くつくか。カード会社が儲かるからだ。加盟店の手数料でも儲かるが、いちばん儲かるのは、利用者が代金をリボ払い形式で払うときの「利息」。

 リボ払いについては別の機会に話すが、預金金利がほぼゼロ、住宅ローン金利が1%以下の2018年現在、リボ払いの金利はなんと15%もする。考えるだけで頭がくらくらする。
「どうしてもクレジットカードで払わなくてはいけないときは、一回払いで」と勧めているが、不意の出費などで苦しくなり、「あとからリボ」(当初は一括払いを選んだが、後からリボ払いに変更する)を使う人があとを絶たない。リボ払いだと気づかず、15%の利息がかかっていることを知らないまま、何年も使い続けている人もいる。あなたは、その罠にはまらないでほしい。
 もちろん、クレジットカード以外のカードローン、車のローン、消費者ローン、エステローンなども借りてはいけない。毎月借金の返済があると、貯金ができない(考えてみてほしい、月3万円、借金を返しながら貯金できる?)。貯金がないと、まとまった出費でまた借金をしてしまう。そして、どんどん借金が膨らみ、身動きが取れなくなってしまうのだ。あなたは、その罠にはまらないでほしい。
 新社会人。必要なものがたくさんある。欲しいものがたくさんある。勉強したいことがたくさんある。行きたい場所がたくさんある。しかし、すべては収入の範囲で、そしてお金を貯めてからにする。これが本当の大人の作法。この当たり前のことを身に付け、自分の欲望をコントロールできるようになったら、あなたのこれからの10年、20年、30年、50年、マネーライフはバラ色です。

※個人のお金の悩みに回答する「FP相談」を承っています。FP相談、および本記事に対するお問い合わせはこちらへ。新社会人からのお金の質問、悩み相談も受け付けています。  

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