ワンルームマンション投資 赤信号!危険! その1
将来への不安から、保険、不動産、投資商品などを購入すると、かえって悪い結果になったり、詐欺にあってしまったりするから気をつけて! と前回お話しした。なかでも特に気をつけたいのが、ワンルームマンション投資だ。
●昔ながらの不動産投資で、老後に家賃収入を得る方法
退職にそなえて資産をつくり、引退後の定期収入を得るための昔からのやり方がアパート経営だ。10年前に亡くなった母は中卒だったが、化粧品や下着のセールスパーソンとして人並み以上の収入を得ていた。贅沢はせず、こつこつ貯めたお金で土地を買った。最初は駐車場として貸していたが、晩年そこにローンでアパートを建てた。地方なので家賃は月4万円と安いが、6世帯あるので計24万円。老齢厚生年金のない母の年金は少なかったが、アパートの収入はそれを十分に補ってくれた。
入居者が決まらなかったり、家賃を払わない人に居座られたり、空室が続いたり、いろいろ苦労したが、まわりが開発されたこともあって、過去15年ほどはずっと満室で、相続した父のよい小遣いの源になっている。地元の不動産会社が月数千円で管理を請け負ってくれているので、煩わしさもない。ただ、数年に一度は、外壁を塗ったり水回りをリフォームしたり、数十万円〜百万円以上の費用はかかっている。
母の例は、昔ながらの不動産投資のやり方だ。将来性のある場所に安く土地を買い、ローンでアポートを建てて貸す。ローン返済中も少しプラスになる(家賃収入が返済額より少し多い)。ローンが終わったら、家賃収入をまるまる受け取ることができる。そのなかで、アパート経営の苦労も経験する。
- ●昨今の不動産投資 会社員がワンルームマンションを買う
ところが、昨今の都会の不動産投資は様子が違う。30~40代の会社員が「老後の収入を準備しよう」「不労所得を得よう」という投資セミナーに出席する。不動産投資がどれほど魅力的かという話を聞く。そして、不動産業者が選んだ物件を、提携金融機関のローンで、業者がすすめるプランで、「頭金ゼロ」で、物件を実際に見ることもなく購入する。
不動産投資、特に中古ワンルームマンション投資がどれほど魅力的かということをアピールするため、こんなことが謳われている。
①利回りが魅力!
金利ゼロが長く続いている。預金をしても利息はつかないが、不動産投資(中古ワンルーム)の利回りはおおむね4%以上だ。
②ローンの低金利が魅力!
今は歴史的な低金利で、おどろくほど低い利息負担でローンが借りられる。
③都心の物件が魅力!
日本全体は人口が減っているが、東京都心にはむしろ人が集まって賃貸物件の需要は高くなっている。この傾向は今後も変わらないだろう。
④家賃保証が魅力!
当社から買ってもらうと家賃保証をつけるので、万一空室になっても家賃収入が入らなくなることはない。
⑤当社の仕入れ力が魅力!
人気が高く値段が下がりにくい物件を割安に仕入れているので、お買い得だ。
⑥老後の不労所得になるのが魅力!
現役時代にローンで物件を買い、退職までにローンを返し終えれば、家賃収入が老後の収入源となる。家賃月8万円のマンションを2件持てば月16万円の収入。公的年金(たとえば月16万円)と合わせて、月32万円の収入があれば老後はゆとりのある暮らしが手にはいる。
いいことばかりだ。もしこれらが真実なら、私だって買いたくなる。
危ない! こんなリスクが見過ごされている
投資家が必ず知っておかなくてはいけないのは、どんな投資にもリスクがあることだ。ワンルームマンションには、次のようなリスクがある。
・リスク1. 毎月持ち出しになる
・リスク2. 年数が経ち建物が古くなると家賃は安くなる
・リスク3. 中途売却で大損するかも
・リスク4. 退職後も終わらない30年ローン
・リスク5. 複数戸投資でリスクがさらに大きく
・リスク6. 見ないで買う
・リスク7 比べないで買う
これらのリスクについては、次回詳しくお話ししよう。